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「努力不足」じゃない。私が診断で知ったASD(自閉スペクトラム症)という特性
なんで自分だけうまくいかないんだろう…努力が足りないのかな…
ズーボ、それは努力不足じゃないかもしれないよ。私も昔はそう思ってたんだ。
え?どういうことズボ?
私はASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けて、初めて「ああ、これは努力不足じゃなくて、脳の特性だったんだ」って分かったんだよ。
30代になって初めて、私はASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けました。
それまでは、仕事でのミス、人間関係のトラブル、生活リズムの乱れ…全てを「自分の努力不足」だと思い込んでいました。
「なぜ自分だけこんなにうまくいかないんだろう」
「普通の人ができることが、なぜこんなに難しいんだろう」
そんな自己否定の日々でした。
でも、診断を受けて特性を理解することで、少しずつ「自分に合った生き方」が見えてきたんです。
この記事では、ASDとは何か、という基礎知識と、私自身の具体的な経験談を交えながら、「生きづらさの正体」と「その対処法」をお話しします。
【この記事を読んでほしい人】
✅ 「空気が読めない」と言われることが多い
✅ 興味のあることには異常に集中してしまう
✅ 音や光などの刺激に敏感で疲れやすい
✅ 仕事や人間関係がうまくいかず、自分を責めている
✅ ASDかもしれないと感じているが、よく分からない
もし一つでも当てはまるなら、この記事があなたの「生きやすさ」のヒントになるかもしれません。
【基礎知識】ASD(自閉スペクトラム症)とは?
ところで、ASDって具体的に何なんだズボ?
まずは基礎知識から説明するね。ASDは「発達障害」の一つで、生まれつきの脳の特性なんだ。
ASD(Autism Spectrum Disorder)は、日本語で「自閉スペクトラム症」と呼ばれる発達障害の一つです。
重要なポイントは、これは「病気」ではなく、生まれつきの「脳の特性」だということ。
後天的になるものではなく、また「治す」ものでもありません。
その代わり、特性を理解し、自分に合った対処法を見つけることで、生きやすくなるのです。
ASDが持つ特性の3つの柱
ASDの特性は、大きく分けて以下の3つの領域に現れます。
特性①:社会的コミュニケーションの困難
- 相手の気持ちや意図を読み取るのが苦手
- 場の空気や暗黙のルールが理解しにくい
- 言葉を文字通りに受け取ってしまう
- 一方的に話してしまったり、会話のキャッチボールが難しい
特性②:限定的で反復的な行動・興味・活動(こだわり)
- 特定のことに強い興味を持ち、とことん追求する
- ルーティンや決まったやり方を好む
- 予定の変更や環境の変化に強いストレスを感じる
- 一つのことに集中しすぎてしまう(過集中)
特性③:感覚の過敏性・鈍感性
- 音、光、においなどの刺激に敏感、または鈍感
- 特定の感覚刺激が苦痛に感じられる
- 痛みや温度に気づきにくい場合もある
なるほど…これって人によって程度が違うんだよね?
そう!それが次に説明する「スペクトラム」という概念なんだよ。
ASDの名称と「スペクトラム」の意味
実は、ASDという名称は比較的新しいものです。
以前は「自閉症」「アスペルガー症候群」「広汎性発達障害」など、複数の診断名がありました。
しかし、これらは明確に区別できるものではなく、連続した特性の範囲(スペクトラム)として捉える方が適切だということが分かってきました。
「スペクトラム」とは?
- 虹のように、色がグラデーションで変化していくイメージ
- ASDの特性は、人によって現れ方や強さが大きく異なる
- 「軽い」「重い」という単純な区別ではなく、個人差が非常に大きい
つまり、同じASDの診断を受けていても、AさんとBさんでは全く違う困りごとを抱えている可能性があるのです。
私の場合は「ASDグレーゾーン」という診断だったけど、それでも生きづらさは確かにあったんだ。
私の経験から語る!具体的な「生きづらさ」の正体
定義は分かったけど、実際にどんな困りごとがあるんだズボ?
ここからは、私の実体験を赤裸々に話すね。ASDの特性が、実生活でどう現れるのかが分かると思うよ。
特性1の例:悪意のないストレートな発言が招く人間関係の摩擦
これは私が最も苦労している特性の一つです。
大人数の場では、経験を重ねることである程度対処できるようになりました。
しかし、一対一の会話では今でも油断すると失敗してしまうのです。
具体的なエピソード:
ある日、久しぶりに会った友人が「最近、新しい趣味を始めたんだ」と嬉しそうに話してくれました。
私は正直に思ったことを口にしました。
「へー、でもそれって続かなそうだよね。前も色々始めてすぐやめてたし」
友人の表情が一瞬曇りました。
後から考えれば、これは完全に不適切な発言です。相手は嬉しい報告をしているのに、わざわざ過去の失敗を持ち出して水を差してしまったのです。
でも、その瞬間の私は「事実を述べただけ」で、悪意は一切ありませんでした。
ASD特性による問題点:
- 頭に浮かんだことをフィルタリングせずに言ってしまう
- 相手の気持ちや立場を考える前に言葉が出る
- 「事実」と「相手への配慮」のバランスが取れない
- 嘘はつかないが、配慮が不足してしまう
今でも完璧にはコントロールできないけど、「一呼吸置いてから話す」「言う前に『これは相手を傷つけないか?』と自問する」ことを意識するようにしてるんだ。
特性2の例:「過集中」はデメリット?いや、強力な強み
過集中って、前の記事でも出てきたけど、やっぱり困ることなの?
使い方次第なんだ。私の場合、最初はデメリットだらけだったけど、今では最大の武器になってるよ。
過集中の負の側面:生活崩壊の危機
私は過去に、スマホやゲームにハマりすぎて生活に深刻な支障をきたした経験があります。
ゲームを始めると、時間の感覚が完全に麻痺してしまうのです。
「あと1ステージだけ」「もう少しでクリアできる」
そう言いながら、気がつけば朝になっていることも珍しくありませんでした。
その結果:
- 睡眠不足で体調崩壊
- 仕事に遅刻や欠勤
- やるべきことが全て後回し
- 生活リズムが完全に崩れる
当時は「自分はなんてダメな人間なんだ」と自己嫌悪に陥っていました。
でも、過集中は「諸刃の剣」だった
ある時、気づいたんです。
「この集中力を、別のことに向けられないだろうか?」
そこで、過集中の対象をパソコンスキルの習得に切り替えることにしました。
プログラミング、デザイン、動画編集…興味を持ったことに対して、過集中モードで取り組んだのです。
結果:
- 普通の人が数日かかる作業を、一気に片付けられる
- 細部まで丁寧に仕上げる品質の高さ
- 深く掘り下げることで、専門性の高いスキルを獲得
- 「仕事が早い」「クオリティが高い」と評価されるように
過集中は、方向性を間違えると生活を破壊するけど、適切に活用すれば普通の人にはない強力な武器になるんだよ。
1. はじめに:その「止まらない集中」、あなたのせいじゃありません 【あなたはこんな「過集中」の困りごとを感じていませんか?】 ✅ やるべきことを忘れて、一つのことに没頭してしまう ✅ 気がついたら深夜で、睡眠不足で翌日がボロボロ ✅ 集中が切...
特性3の例:私を襲う「音の暴力」とその対策
音に敏感って、どのくらい辛いものなんだズボ?
想像以上に辛いんだ。でも、対策を見つけてからは随分楽になったよ。
日常に潜む「音の暴力」
私は音に対して非常に敏感です。
特に苦手なのは:
- 駅のホームのアナウンスや雑踏
- ショッピングモールの喧騒
- 複数人が同時に話している環境
- 突然の大きな音(工事音、車のクラクションなど)
人混みにいると、全ての音が同時に脳に押し寄せてきて、まるで音に殴られているような感覚になります。
頭が痛くなり、吐き気がして、その場から逃げ出したくなるほどの苦痛です。
対策①:耳栓の常用
私は外出時、ほぼ必ず耳栓を持ち歩いています。
人混みに入る前に装着することで、音の刺激を和らげることができます。
完全に音を遮断するわけではないので、周囲の状況も把握できます。
この小さな対策だけで、外出時のストレスが劇的に減りました。
会話の聞き取りにも困難が…
実は、私は音に敏感な一方で、会話の聞き取りも苦手という矛盾した特性を持っています。
これはAPD(聴覚情報処理障害)の可能性もあるのですが、特に:
- 騒がしい場所での会話
- 複数人での会議
- 電話での会話
こういった状況では、相手の言葉が「音」としては聞こえているのに、「意味」として理解できないのです。
対策②:メモと会話の録音
この問題に対して、私は以下の対策を取っています:
メモの徹底:
- 重要な会話は必ずメモを取る
- 後から見返せるようにする
- 相手にも「メモを取らせてください」と断りを入れる
会話の録音(許可を得て):
- 重要な打ち合わせは録音させてもらう
- 聞き返すことで、聞き逃した部分を補える
- 「正確に理解したい」という真摯な姿勢として受け入れてもらえることが多い
最初は「録音させてください」と言うのが恥ずかしかったけど、勇気を出して伝えたら、みんな快く協力してくれたよ。
診断を受けて変わった「私の生き方」
診断を受けて、何が変わったんだズボ?
診断は、私にとって「人生のターニングポイント」だったんだ。
診断前:「努力不足」だと自分を責めていた日々
診断を受ける前の私は、常に自分を責めていました。
仕事での失敗
マルチタスクが苦手で、複数の業務を同時に進めることができませんでした。
優先順位をつけるのも苦手で、気がつくと締切を過ぎていたり、重要な業務が抜け落ちていたり…。
上司からは「どうしてこんな簡単なことができないんだ」と叱責されることもありました。
人間関係のトラブル
前述の通り、無意識のうちに相手を傷つける発言をしてしまい、人間関係がうまくいきませんでした。
「なぜ自分は普通に人と付き合えないんだろう」
「他の人ができることが、なぜ自分にはできないんだろう」
自己評価の低下
こうした失敗の積み重ねで、私の自己評価はどんどん下がっていきました。
「何をしてもうまくいかない」
「自分はダメな人間だ」
「努力が足りないんだ」
そう思い込んで、自分を追い込んでいました。
今思えば、これは特性のせいだったのに、全部自分の責任だと思い込んでいたんだ。
診断後:特性を理解し、自分の得意なことを見つけ出す
診断を受けたことで、私の人生は大きく変わりました。
「特性のせい」だと分かった安堵感
「これは私の努力不足じゃなかった」
「生まれつきの脳の特性だったんだ」
そう分かった時、長年抱えていた自己否定感が少し軽くなりました。
もちろん、「特性のせいだから何もしなくていい」ということではありません。
でも、「なぜうまくいかないのか」の理由が分かったことで、適切な対処法を探せるようになったのです。
自分と向き合うきっかけに
診断後、私は改めて自分の特性と向き合いました。
「苦手なことは何か?」
「得意なことは何か?」
「どうすれば生きやすくなるか?」
こうした問いに、一つずつ答えを見つけていきました。
得意なことに気づけた
特に大きな変化は、自分の得意なことに気づけたことです。
- 過集中を活かした高い集中力
- 細部にこだわる丁寧な仕事
- 一つのことを深く掘り下げる専門性
- ルーティン化された業務での安定したパフォーマンス
これらは、全てASDの特性から生まれる強みでした。
働き方や生活スタイルの工夫
特性を理解したことで、自分に合った働き方や生活スタイルも見つけられました。
- マルチタスクを避け、シングルタスクで集中できる環境を選ぶ
- 在宅ワークで音の刺激を減らす
- ルーティン化できる業務を中心に担当する
- 過集中を活かせる専門的な仕事を選ぶ
診断は終わりじゃなくて、むしろ「自分らしく生きるためのスタート」だったんだよ。
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まとめ:特性を知ることは「自分を助ける」第一歩
なるほど…ASDって、知れば知るほど「個性」なんだなって思えてきたズボ!
そうなんだ!特性を知ることは、自分を責めるためじゃなくて、自分を助けるためなんだよ。
最後に、この記事でお伝えしたかった大切なポイントをまとめます。
POINT
✅ ASDは「病気」ではなく、生まれつきの「脳の特性」です。
✅ 特性は人によって大きく異なり、「スペクトラム(連続体)」として捉えることが大切です。
✅ 困りごとの多くは、特性を理解し、適切な対処法を見つけることで軽減できます。
✅ 特性は弱点だけでなく、強みにもなり得ます。
ASDの診断を受けた方、またはその可能性を感じている方へ。
あなたが感じている「生きづらさ」は、決してあなたの努力不足ではありません。
それは、脳の特性によるものです。
そして、その特性を理解し、自分に合った対処法を見つけることで、必ず生きやすくなります。
私自身、まだ完璧にコントロールできているわけではありません。
今でも失敗することはあるし、悩むこともあります。
でも、診断前に比べれば、確実に生きやすくなりました。
特性を「弱点」ではなく「個性」として捉え、それを活かす方法を一緒に探していきましょう。
あなたの特性が、あなたの人生にとって最高の味方になりますように。
更新履歴
- 第1稿投稿 2025年10月25日(記事コンテンツアップ)
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